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パリからの手紙

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フランスの水
フランスは意外と水彩画家が少ないのをご存じですか?その理由は「水」。
フランスでは絵の具の色が安定せず、きれいに発色させるのが難しいのだそうです。
パリに住む日本人が驚くことの1つに「水」事情があります。日本の軟水に比べて、かなり石灰分の多い硬水なので、湯沸かし器や蛇口がガチガチになり、洗濯物は洗うと薄らグレーになります。肌もカサカサ、髪もパサパサ。毎日のことなので、身体が慣れることが第一ですが、機械類は定期的に石灰落としをしたり、洗顔は水ではなくクリームで拭き取ったり、と洗剤や洗い方に工夫が必要です。
こういった事情なので、ミネラルウォーターが出回るのが納得できますが、買って帰るのも重いので、各家庭で浄水器を使う人もたくさんいます。パリ市では「質のよい水を得られるのは人権」をスローガンに改良を重ね、水道水の安全性をうたっています。
フィリップ・スタルクデザインの持ち運び用ボトルや、エッフェル塔などパリをイメージした可愛いデザインのオリジナルカラフ(食卓用の水を入れる瓶)を毎年売り出し、宣伝を欠かしません。
水道水はあのセーヌ川の水と地下水を浄化したものですが、私が来た16年前は、お湯を沸かすと鍋が真っ白になっていたのも、今はかなり改善されています。また、公園や街角で地下水を自由に無料で汲める場所がありますが、ガス(炭酸)入りの水を好む市民のために、昨年からガスを加えた飲料水も供給されるようになりました。
日本へ旅行したフランス人は「何も言わないのにおしぼりとお冷やが出た!」と感激しますが、こちらでは必ずプラット(普通)か、ガス入り、カラフド(水道水)を選んで注文しなければ、どんな高級レストランでも水は出てきません。以前リヴォリ通りのホテルムーリスで食事のあと「水を一杯ください」と言ったら、レモンスライスとフランボワーズが浮かんだ水が出てきて素敵でした。
それからフランス人が好んで飲むのがシロップ水。イチゴやグレナディン(ザクロ)で少し甘〜くした飲み物は子供やお年寄りに、ミント水Menthe à l’eau(マンタローと発音)やディアボロ Diabolo(炭酸水で割ったミントシロップ)は、家庭やカフェの定番ドリンクです。
フランスを旅すると、水の銘柄(ブランド)の土地にたくさん出会います。エヴィアン、ヴォルヴィック、ヴィッテル、ヴィシー・・・どこも保養地で、日本の温泉のように湯治(と言っても飲むのが主ですが)やエステをしに人々が訪れます。
クラシックサロンコンサートのシリーズをやっていたエヴィアンロワイヤルホテルに昔よく出演しましたが、大自然にゴルフ場、目の前のレマン湖を渡ればスイスのローザンヌに行けて、素晴らしい環境、さすが世界に誇るエヴィアン!
フランスのミネラルウォーターは塩分、炭酸の強弱、栄養素など実に種類が豊富で、持病のある人は医者に「マグネシウムをとった方がいいからこの銘柄の水に変えなさい」など、毎日の水から健康に気配りをします。赤ちゃんに推薦されるのは軟水。ただ公立の保育所では、粉ミルクも給食も硬水の水道水でガンガン作られてしまいます。
日本人はお風呂好きですが、フランス人は乾燥を恐れてか、シャワー派の人が多いです。硬水では石鹸が泡立ちにくいのでボディーソープを使い、シャンプーなどもフランス製のものには石灰分を分解する成分が入っているので、一番水に合っています。私は、入浴後グラスオールのローションとクリームでしっかり保湿をしています。「日本人は肌がきれいで10才は若く見える」というのは、フランスでも知られた話。日本を離れ、フランスに住み着く女性が多いのは、実はそんな理由だったりして・・・?

木野 真美 Mami Kino

1971年生まれ。ピアニスト。モーツァルトコンクール、日本室内楽コンクール、東京都知事賞受賞。
1994年渡仏。パリ16区在住。現在、パリの音楽学校でピアノを教える傍ら、ヨーロッパの音楽祭や古城でのディナーコンサート等演奏活動を行っている。音楽活動の他に、翻訳や日仏交流イヴェント等にも携わる。プライベートでは、日本人の夫との間に息子がひとりいる。

CDリリース:日本人作曲家シリーズCD『伊福部昭』、『貴志康一』、子守歌集『ララバイ オゥ ララバイ!』
公式サイト:http://www.mamikino.com/
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