パリからの手紙

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農業王国
実は、フランスは「世界有数の農業国」というもうひとつの顔を持っています。パリの華やかな街並みを出て、車で1時間も走れば、菜の花畑、麦畑、ぶどう畑・・・TGV(高速鉄道)に乗れば、広い草原に茶色い牛、白い牛、黒い牛を絶え間なく見ることが出来、その景色から、なぜこの国が「美食の国」として世界に君臨しているのかがうかがい知れます。
フランスでは皆、市場で買物をする習慣がありますが、傷みやすそうな果実類でさえ、でーんと山積みになった中から「欲しいだけ持っていけ」といわんばかりに袋詰めする量り売り方式で大胆。さすが食糧自給率120%の底力を感じます。ですから、日本のように果物をお使い物にする習慣もありません。
お菓子職人は「フランスの小麦と砂糖は最高」と言いますが、生産高は世界でもトップクラス。他にも、言わずもがな、ぶどう(ワイン)、そして卵や牛乳など、普段口にするものの種類も実に豊富です。
しかし、ただ大量生産していないのがこの国のいいところで、健康や美容、そして環境保護のためにAB(Agriculture Biologique)マークのついた有機製品が多く出回り、日本のように有機野菜の宅配の契約をしたりすることなく、スーパーでもどこでも手軽に買えます。日曜日にはラスパイユ通りに有名な有機市場が出るので、時々出向きますが、有機食品の中でも特に高品質で、ヨーグルトなどは目眩がするほどの美味しさです!こちらは「100%Bio生活」を謳っているので、食品に限らず、シャンプーやタオル、化粧品、本などもあり、売る方も買う方も真剣に取り組んでいそうな、ちょっと宗教がかった空気さえ感じます。
健康=日本食のイメージは多くのフランス人に浸透していますが、熱湯を注いだ緑茶に砂糖を入れて飲んでいる人もいますから、神髄はまだまだ理解されていないと思われます。
ABの他にはLabel Rouge(赤ラベル)という優良品質を示す基準があり、スーパーで多様な品を前に選ぶ手間が省けて合理的です。決して外国人のために作ったとは思いませんが、何を買ったらいいか分からない旅行者にも便利ですね。最近は花にも付いていることがあり、作り手の訴えたい気持ちが伝わってきます。
毎年2月に行われる「フランス国際農業見本市」は、数あるサロンの中でも最も盛り上がりますが、郷土料理の多さ、食文化の奥深さには驚かされます。 以前私が訪れたときは、牛のコンクールをやっていて「確か日本にもあったな」と思いながら眺めたものです。2年前には笑顔でサロンを訪問したサルコジ大統領が農民に「私に触るな、気分が悪くなる」といわれ、「それなら立ち去れ、大バカ野郎」とやり返してしまったサロンでもあります(笑)
フランスでは「1日5種類の野菜と果物を食べよう」といいますが、(意外と少ないですよね)フランスの家庭でよく飲まれるのが野菜のポタージュ。季節の野菜や乾燥豆を水(又は牛乳、ブイヨン)で煮て、ミキサーにかけるだけ。ダイエット中はプレーン、子供には生クリームやチーズを、大人は塩やハーブを足して、組み合わせは無限大。お味噌汁に勝るとも劣らぬ家庭の味です。

木野 真美 Mami Kino

1971年生まれ。ピアニスト。モーツァルトコンクール、日本室内学コンクール、東京都知事賞受賞。
1994年渡仏。パリ16区在住。現在、パリの音楽学校でピアノを教える傍ら、ヨーロッパの音楽祭や古城でのディナーコンサート等演奏活動を行っている。音楽活動の他に、翻訳や日仏交流イヴェント等にも携わる。プライベートでは、日本人の夫との間に息子がひとりいる。

CDリリース:日本人作曲家シリーズCD『伊福部昭』、『貴志康一』、子守歌集『ララバイ オゥ ララバイ!』
公式サイト:http://www.mamikino.com/
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