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パリからの手紙

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結婚?それともパクス?
フランスに「恋愛の国」というイメージを抱いている方も多いと思いますが、実にその通り、愛について考え、悩み、行動しているフランス人をよく見かけます。日本人だって考えている人はたくさんいると思いますが、オープンなお国柄ということもあって、メディアで愛やカップルについて語っているものも多いし、人が集まれば話題に上りやすいといえます。それだけに皆、免疫が出来ているというか寛容になっているというか、日本でよく見る恋愛スキャンダルで失脚する政治家やニュースキャスターなどは見かけません。
先日驚いたのは、私がピアノを教えているお嬢さんで、ある銀行家の孫娘がいるのですが、彼女の母親に「うちの娘に誰かいい人いないかしら?ピアノ弾ける男の子で、ほらこの前コンサートで見かけたC君とか」「そうですね。今うちのクラスにB君というとてもいい子が・・・」と言いながら、はて?彼女はまだ14歳でしょう?パッと見は皆大人っぽいので違和感がないのですが、14〜15歳で親も気にしているとは、何と早いスタート!ゴールも遅い事を考えると、やはり人生で恋愛と関わっている期間が長く、それだけに皆が真剣に取り組んでいるテーマとも言え、よって結婚、同棲、出産に関して様々な法律や優遇制度が生まれ、出産率ヨーロッパNo.1に輝くまでとなったのも納得できるような気がします。
出産率は上がれど結婚は…というと、実はそれほど盛んではありません。私の周囲でも結婚する人よりPACS(パクス)という制度を利用する人が断然多くなりました。結婚とほぼ同様の法的優遇権(税金、社会保険、財産、相続、住居など)がある上、契約・解消の手続きも簡単で安価。その上同性同士でも可能。法律が出来た10年前にいち早くパクスを利用した同性愛者の友達が「これで僕たちも正式なカップル」と言って感動していたけれど、今となっては男女のカップルでもパクス。共同生活が条件なので、一見普通の結婚家庭と何も変わりません。
フランス人にとって重要なのは「生涯恋愛している」ということ。例え結婚している間柄でも、ワクワクしなくなったら離婚する人も多いのです(パリは離婚率50%)。その上宗教でも違えば、結婚観もおのずと変わってきて「結婚」する意味さえも曖昧になってきているのです。
結婚式の展示会「サロン・ド・マリアージュ」も今年はなんと小文字で「&パクス」と付け加えてあったのには驚きました。それだけ需要も増え、訪れているカップル達も「結婚」するとは限らないのだなと。しかも恋愛を繰り返すフランス人には、「一生に一度以上」利用する人も多いかもしれず、密かに手堅い商売なのかもしれません。
ところで、フランスでは、区役所で結婚式を上げる予定の1週間前より、掲示板に男女の名前が張り出され、異議のある人は申し立てることができる、と言う変な決まりがあります。「異議を申し立てられた」という人は聞いたことはありませんが、面白い習慣だと思います。また、地元新聞やフリーペーパーにカラー写真入りで「今月の結婚式」などと紹介を載せることもできます。

木野 真美 Mami Kino

1971年生まれ。ピアニスト。モーツァルトコンクール、日本室内楽コンクール、東京都知事賞受賞。
1994年渡仏。パリ16区在住。現在、パリの音楽学校でピアノを教える傍ら、ヨーロッパの音楽祭や古城でのディナーコンサート等演奏活動を行っている。音楽活動の他に、翻訳や日仏交流イヴェント等にも携わる。プライベートでは、日本人の夫との間に息子がひとりいる。

CDリリース:日本人作曲家シリーズCD『伊福部昭』、『貴志康一』、子守歌集『ララバイ オゥ ララバイ!』
公式サイト:http://www.mamikino.com/
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